文化・歴史・教育

2017.07.14

マウント・デイビス砲台・堅尼地城(ケネディタウン)の西南

第二次世界大戦

摩星嶺砲台(マウント・デイビス砲台 / Mount Davis Battery)は香港島の最西端に位置する小高い山にある砲台跡地です。1911年にイギリス軍により建築され、第二次世界大戦では重要な軍事拠点でした。1941年に日本軍が香港へ上陸した際に激しい戦いが行われた場所の1つとしても有名です。

マウント・デイビス砲台の登り口は香港島の西の街ケネディタウンを少し過ぎたところにあります。行き方をいくつかご紹介します。

登山口に近いバス停までの行き方。
・ シティバス1番「摩星嶺」行きで「摩星嶺徑」バス停下車
・ シティバス971番で「摩星嶺徑」バス停下車

ケネディタウンまでバスで行き、登山口まで歩く行き方。
・カオルーン&NWFBバスの110番や104番、またはシティバス5B、5X、10の堅尼地城(ケネディタウン)行きに乗り、終点「堅尼地城」で下車。
・域多利道(ビクトリア・ロード)を、山に向かって10分ほど歩くと登り口となる道(摩星嶺徑)に到着。

マウントデイビス砲台入り口

域多利道(ビクトリア・ロード)を進んでいくと山側に伸びる「摩星嶺徑(Mount Davis Path/マウント・デイビス・パス)」があり、頂上まで徒歩約40分程度で到着、綺麗に整備されている道なので歩きやすいです。

道中は廃墟となった砲台跡地や基地と思われる建物が点在しており、また屋根の抜けた男性公衆トイレも存在感があります。どの建物もかなり荒廃しており、大きな木に鬱蒼(うっそう)と覆われている姿は時間の経過を物語っています。時折、山の中に続く細道なども見つけられますが、多くの遺跡はメインの道沿いにありましたので、あえて危険そうな細道に入る必要はないかと思います。砲台跡地はかなり崩れていますが、日本軍の激しい攻撃により破壊された後がそのまま残っているそうです。

トイレ

道なりに突き進んでいくとユースホステル「Ma Hui Hall(馬會堂)」が左手に見えてきます。ここには道中で最も大きな砲台跡地がみられますが、最終目的地はホステルの右側にある坂を更に上ったところにあります。この坂は大砲を運ぶ際に使われたとされていますが、かなりの急こう配で本当に大砲を運べたのかと不思議に思うほどです。登りきるとキャンプ場のような広場があり、更に進むと要塞跡地現れます。

要塞跡地は完全な廃墟であり、司令部とも兵士の居住区とも言われる場所や、弾薬庫のようなところ、防空通路と思われる道などが残っています。第2級歴史建築に指定されている割には説明や案内が全くないため、具体的にどうやって使用されていたのかは想像を膨らませるしかありません。コンクリートの箱のような形で残された要塞跡地はうっそうとした木々の中、シンとした空間の中で香港とは思えない雰囲気を醸し出しています。

イギリス軍が日本軍に降参した1941年12月25日は「ブラック・クリスマス」と呼ばれており、この日からマウント・デイビス砲台は放置されたと伝えられています。一部エリアは「前面危険 ・請勿進入(この先危険・立入禁止)」と書かれていますのでそういった場所には念のため、近づかないほうがいいでしょう。

廃墟

実はこのマウント・デイビス砲台エリアは、日本軍が攻めて多くのイギリス兵が戦死した場所であり、1945年には敗戦を知った日本兵が集団自殺をした場所だとも言われています。そして現在ではこのような背景があることからも、幽霊スポットとして非常に有名な場所になっています。有名な心霊話を挙げてみましたのでご覧ください。

・ タクシー運転手がマウント・デイビス・パスをタクシーで下っていると中年男性を発見。乗車させ、行先を聞いても答えない。マウント・デイビス・パスをおりきったところで行先を再度尋ねようとバックミラーを見ると半透明になった姿があり、驚きながらもそのまま運転を続けると姿が消えた。

・ 夕方からサバイバルゲームを開始、暗くなってきたので暗視スコープをかけてあたりを見ると大勢の人が湧き出るように近づいてきた。驚いて暗視スコープを外すと姿が見えない。また改めてかけてみると、日本の軍服を着た軍人がいた。

また以前、このエリアには「白屋(「白い家」の意味)」と呼ばれる施設があり、こちらも有名な幽霊スポットでした。白屋は第二次世界大戦中は軍事拠点として、戦後は政治犯収容所として使用されました。収容所時代は多くの拷問が行われたと言います。1995年以降は使用されなくなりましたが、その後2013年にシカゴ大学系のビジネススクールが建てられることが決定し現在、校舎建設中です。学校ができた後は新たな幽霊スポットになるかもしれないと噂されています。

香港とは思えない風景が残るマウント・デイビス砲台に一度は行ってみてはいかがでしょうか。

≪マウント・デイビス砲台の場所≫
登山口に近いバス停までの行き方。
・ シティバス1番「摩星嶺」行きで「摩星嶺徑」バス停下車
・ シティバス971番で「摩星嶺徑」バス停下車

ケネディタウンでバスで行き、登山口まで歩く行き方。
・カオルーン&NWFBバス共同運営の110、104やシティバス5B、5X、10で堅尼地城(ケネディタウン)行きで、終点「堅尼地城」で下車。
・域多利道(ビクトリア・ロード)を、山に向かって10分ほど歩くと登り口となる道(摩星嶺徑)に到着。

場所:摩星嶺砲台(マウント・デイビス砲台/Mount Davis Battery)
地図:https://goo.gl/maps/iGEc8FGKeeB2

香港BS K.Kより